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【My Basque Cheese Cake / 私のバスクチーズケーキ】

フランスとスペインの両国をまたがるピレネー山脈の麓にある国境バスク地方は独特の文化と言葉でミシュランのレストラン密度も高いグルメな地域。その中でもサンセバスチャンには年中観光客は絶えず、それぞれのバルでは数多いオリジナルピンチョスやタパスなどをカウンター越しに指差し、チャコリを高いところから器用に注ぐパフォーマンスを見て、飲み、ビール、ワインを味わってまた次に行くというバル巡りで朝から夜遅くまで遊びます。バスクチーズケーキで有名なラ・ヴィーニャ(LA VINA)。サンセバスチャンへ何回行っても閉まっていてなかなか伝説のバスクチーズケーキにはありつけず、ようやくありつけた時の嬉しさはひとしおだった。
日本のバスクチーズケーキはお菓子の要素が強く、本場より軽い。私が食べたサンセバスチャンのラ・ヴィーニャ(LA VINA)のバスクチーズケーキは濃厚で、熟成され芳醇で甘いがチーズの香りと塩っけがすこぶるワインに合う一品だった。大きめでずっしり。友達とワインを一本頼んでチーズボード代わりにバスクチーズケーキを少しずつ頬張る。私のレシピはこのお店の常連さんの娘が隣に座っていてこっそり教えてくれたもの。『作り方は簡単。だけどバスクのチーズで作ってこの店で数日寝かせて熟成するから美味しいのよ』と彼女は教えてくれた。絶対そうだと思う。こういうプライドがシンプルなものほど格段に美味しくしてくれるといつも思う。
私のバスクは彼女が教えてくれたレシピをもとに紅茶やコーヒーに合うものを出している。秘訣はなく、ただ静かに数日寝かせ、香りと状態を見て切り分けて店頭に出すだけ。
焼き上がったバスクチーズケーキにおやすみという度にあの時のサンセバスチャンの彼女を思い出す。意気投合してバルの梯子。地元の人たちにも紹介してくれ、最後には何年も予約の取れない山の上にある星付きのレストランの料理長に紹介してもらって賄いの残りを食べさせてもらった。彼女はそこの娘で常連さんだと先に書いた人はそのレストランのヘッドシェフだった。その時に天草の写真と兄の魚の写真を見せた。親子で『サンセバスチャンに似てるよ。きっと何もせずに食べても十分美味しいだろうね。』と言った。天草はそんな宝島なのよといつも思ってたことを彼らがサラリと言った時には何だか誇らしかった。
そんな不思議な縁をバスクチーズケーキを作りながら思う。